
タイトルが少し壮大に聞こえるかもしれませんが、デザインを仕事にしている人なら、多かれ少なかれ一度は考えたことがあるテーマではないかと思います。
デザイナーという仕事は、時々アーティストや芸術家のようなイメージで見られることがあります。
もちろん、デザイナーの中にもアーティストとして活動している方はいますし、デザインという言葉自体、とても広いものです。
けれど、私の中では「アート」と「デザイン」は少し違う位置にあります。
ここでは、あくまでも私にとってのデザインについて書いてみたいと思います。
以前、ルーブル美術館について書いたブログでも触れましたが、芸術作品は、見る人が自由に感じ、考えるものだと思っています。
一方で、私にとってデザインには「説明する責任」があります。
なぜなら、デザインはお客様がいて、目的があって、届けたい相手がいるものだからです。
たとえばロゴデザインの場合、まずお客様からたくさんのお話を伺います。
どのような事業なのか。
誰に届けたいのか。
大切にしている理念は何か。
将来どのような姿を目指しているのか。
競合とどのように差別化したいのか。
お客様ご自身の好みはもちろん、ターゲットとなる方々の年齢、性別、感覚、好まれる雰囲気はどのようなものか。
そうした情報を一度すべて自分の中に入れて、整理し、考えます。
そこから頭に浮かんできた形をスケッチし、少しずつデータ化していきます。
ロゴの線の角度、余白、フォルム、色、文字の太さ。
その一つひとつに意味があります。
感覚だけで作っているように見えるものでも、実際には、お客様の背景や目的、届けたい相手に向けた理由があります。
だからこそ、私にとってデザインは「なぜそうしたのか」を説明できるものであるべきだと思っています。

以前、日本に帰国した時、デザイナー仲間に「デザインとは何だと思う?」と聞いてみたことがありました。
その時は、
「田中がまた難しいことを言い出した」
というような反応でした。
それも無理はありません。
現場で働くデザイナーは、とにかく忙しいものです。
日々、締切と修正と入稿に追われています。
私も日本で働いていた頃は、終電に駆け込んだり、数日徹夜したりすることもありました。金曜日の夜になっても、その日に何時に帰れるのか分からないこともよくありました。
休み前に修正が入り、
「休み明けの朝一でお願いします」
と言われることも、デザインの現場では珍しくありません。
だから、現役で走り続けているデザイナーほど、「デザインとは何か」と立ち止まって考える時間は、実はあまりないのかもしれません。
けれど、忙しい現場の中でも、デザイナーは常に考えています。
この情報をどう並べれば、見る人に伝わりやすいか。
どの言葉を大きくすれば、意図が正しく届くか。
どの色なら、そのブランドらしさが伝わるか。
どの余白なら、品よく見えるか。
どの写真なら、お客様の魅力が一番伝わるか。
チラシやパンフレット、Webサイト、ロゴ、名刺、SNSの画像。
どの制作物であっても、そこには必ず「伝えるべきこと」があります。
私が大切にしているのは、ただ見た目を整えることではありません。
お客様の中にある想いを整理し、必要な人にきちんと届く形にすること。それが、私にとってのデザインです。
美しいだけではなく、伝わること。
目立つだけではなく、意味があること。
流行を追うだけではなく、その人や事業の軸が見えること。
そのために、私はお客様のお話をたくさん伺います。
事業のこと、これまでの歩み、これからの目標、好きなもの、苦手なもの、まだ言葉になっていない違和感。
そうしたものを一緒に整理しながら、デザインという形にしていく。
Fleurir Designの仕事は、そこから始まります。

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