· 

パリ五輪ロゴ

 

パリ五輪ロゴが発表されましたね。

 

賛否両論あるようですが、パリを拠点にデザイナーとして活動している私がロゴを見て感じた印象に触れたいと思います。

 

初めて見た印象は「粋」。

 

その後、3つの要素で構成されていると知りました。

「金メダル」「マリアンヌ」「聖火」。

 

モチーフとして申し分なく素晴らしい。

 

ただ、フランスにいると本当によくマリアンヌ像を目にするのですが、

そう言われても全くマリアンヌには見えない。

 

しかし、ロゴはモチーフを繊細な描写でそのものと分からせないといけないものでもなく

その要素をモチーフとして取り入れ表現するものでもあるので

これが「マリアンヌ」を象徴していると言われればそうなのだ。

 

また「ファッションの都」でもあるパリらしいといえばらしくもある。

 

私は個人的に2020年東京五輪のロゴはシンプルではなく、良いとは全く思わなかったので

今回のロゴのシンプルさは好きだ。

 

ロゴタイプがアールヌーヴォ調なのも素晴らしい。

アールヌーヴォ調のフォントをシンプルにしてロゴとしてバランスをとるのは実はとても難しいが、絶妙なバランスでまとまっているし、

特筆すべきは頭文字の「P」と末尾の「4」の文字。

たぶん意図的にそうしているのではないかと思うのだけど、扉が開いたように、奥からの遠近感を感じるように、意識して末広がりに作られているのではないか。

ロゴマークを中心にして、黒のロゴタイプで一見パラパラになりそうな文字なのに、この「P」と「4」で両サイドからまとめ、

さらにはその広がった先(真下)にカラフルな五輪マーク。

 

このバラバラになりそうな「メインマーク」「ロゴタイプ」「五輪の輪のマーク」を

この「P」と「4」の広がりで視覚誘導して1つの塊としてまとまりを持たせている。

 

またこの「P」と「4」の広がる曲線を地平線に見立てると、その先から金のマークが見え

まさに太陽が登っているようにも見え、希望すら感じる。と私は思う。

 

見る人の創造性を掻き立てる。

 

2020年 東京五輪のロゴの「デザインの中心を捉えにくいばらつき感。汎用性を求められるロゴとしては複雑すぎること。」にロゴとして違和感を感じていたので、今回のロゴの見やすさはそれだけでもかなり好感が持てる。

ロゴはかなり小さいものに使用しても印刷が潰れない事が絶対条件であり、

そういう意味では2020年東京五輪は若干複雑すぎるのではないかと思っていた。

 

出会い系サイトのティンダーと似ているという否定的な意見があるが、

このロゴとティンダーが似ていると言っているほうが私的には失笑だ。

 

ちなみに、私の中で最も美しいオリンピックロゴは「亀倉雄策氏の作った1964年東京オリンピック」だ。

このロゴを見ると、シンプルさからくる研ぎ澄まされた緊張感と絶妙なバランスに見るたびに背筋がゾクゾクするほどカッコいい。

美しいものを見た時のため息が何度見ても出る。

しかもどんな媒体にも使いやすい。

 

良いデザインは廃れない。

 

亀倉氏のデザインは痛いほどの緊張感があり、デザインを通して人々に訴えかける挑戦と力強さを感じ、

見るたびに自分のデザイナーとしての志を奮い立たせる。

 

「亀倉さんは人々の理想や経営のビジョンを図像、つまりマークに託し、そのもとに多くの人の意思を束ねていることができると証明しました。そこにデザインの技量だけではない、並々ならぬ人間力を感じます。」(ペンブックス24 名作の100年 グラフィックの天才たち。 (Pen BOOKS)より抜粋)

 

全く持って同感で、これがデザイナーの力量であり、私自身が目指しているところです。